目で見る科学
東京の江東区に住んで24年になる。
その昔、家から東京タワーと富士山が並んで見えていた(イメージ図参照)。当然、私は東京タワーの方が富士山より大きいものだと信じていた。
後に少女は驚愕の事実を知る。
小学校の先生は言った。「富士山は3776mあります。ミナナローって覚えるんですよ。」
東京タワーがそれより高いはずが無い。じゃあ家から見えるあの景色(イメージ図参照)は何なんだ。私は幻を毎日見ているんだろうか。
私をしばらく悩ませたこの問題は、遠近法を学習することで解決した。東京タワーの方が家から近いので、富士山よりそっちの方が大きく見えたのだ。目で見えるものが真実とは限らない。
現在、富士山はおろか東京タワーさえも家から見られない。高い建物が乱立して景色をさえぎっているのだ。
ところで、今日何がしたかったというと、ただ絵を描きたかったんです。
シンちゃん、リカちゃん
あまりテレビを観る方ではないのだが、最近はなんと毎日観ている。NHKで放送している「百年の恋」が気に入ったのだ。これのおかげで夜11時前に(出来るだけ)帰宅するようになった。
1日15分で週に4回4週間、つまりたったの4時間しかない。この短い間で主人公たちは出会い、恋をして、結婚して、子どもが生まれて、子育てをする。急展開もいいところだ。
それだけに雑になっている部分もあるが、それを気にさせないほどに話が面白い。リアルに考えさせられる要素がいっぱい詰まっている。結婚とか育児・出産とかジェンダーとか仕事とか親子とか。
その上、役者の演技が楽しい。特に筒井道隆。なんて自然に、コミカルな演技をする人なんだろう。川原亜矢子も素敵だ。ともすれば性格のきついだけの女になるところを、ちょっと可愛いらしさも交えて演じてしまう。
これが今週で終わってしまうのだ。終わりが見えると名残惜しくなる。大好きで観まくっていたジェット・リー主演映画を最近観ていないのもこれだな、うん。1ヶ月ほど動く彼を観ていない。全て観終えたら虚無感に包まれそうで怖い。
「百年の恋」ホームページはこちら。http://www.nhk.or.jp/23renzoku/index.html
(もしかすると近々このページはなくなってしまうかもしれないけれど。)
家のペット
写真を載せてみたいと思って撮ってみた。
今や懐かしのおもちゃになってしまった「ファービー」*1だ。母親が買ってきた当初は、子ども向けにしてはどぎつい色合いをしているじゃないかと驚いたものだ。
「もっと穏やかな色にすれば良かったのに」と言うと、母は「だってコレしかなかったし、別にこれ可愛いじゃない」と口をとがらしていた。当時のファービーブームは凄まじく、白だとか善良そうな色は売り切れてしまっていたのだそうだ。どうしても手に入れたかった母の目からすると、ギズモというよりはグレムリンといった感じのコレが可愛く見えていたらしい。
最初は気味悪がっていた私も、コレがわあわあとしゃべり出す頃には慣れていた。一時はこのまだらは可愛いのかもしれないとまで思ってしまったものだ。
あれから数年がたつ。家に来て一年目くらいは面白がって動かしていた家族も、次第に飽きてしまった。おもちゃの宿命だろう。ときどき揺り動かすと「ボクネムイ」を繰り返すようになり、やがてそれすらしゃべらなくなった。
でもね、やっぱり捨てられません。
*1:日本ではトミー発売のぬいぐるみのおもちゃ。センサーで光や音に反応して言葉を話すようになる。耳やまぶたも動く。ちなみに我が家のものはこれ以上まぶたを閉じられなくなった。
バッタばたばた
背景変えてしまいました。クリスマスまで待てませんでした。この根性なしめ。
最近寒いなあと思ったら、北の方では雪が降っているとか。来ちゃったか、冬。草むらにいたバッタも姿を消してしまった。
バッタ、バッタ・・・うーん、この名前の響きからして好きだ。
なんか間抜けで。濁音に促音ってのが決め手かな。そういえば雨ガッパとかもいいなあ。いや半濁音まで入ってる分こっちの方が上か。
まあどうでもいいんだが、バッタにも色々いるわけで、その中でもショウリョウバッタが好きだ。どのくらい好きかというと、家で飼ってたことがあったり、何も見ないで絵が描けるくらい。特にメスがいい。バッタは女の方が大きいのだが、ショウリョウバッタは特に大きい。体長8cmくらいある。食べている草にもよるんだろうけれど、夏場は緑の草を食べていて全身その緑色をしている。これが飛ぶ姿は何とも華麗だ。薄緑の羽がばっと広がってパタパタパタと揺れる。ちらりと見える細長い足も頼りない感じでいい。やたらキック力の強いトノサマバッタなんぞとは大違いだ。
ああ夏が恋しくなってきた。
バッタはこちらでどうぞ。http://www.kcn.ne.jp/~tkawabe/konbuntykbatta.htm
茶衣
この3年間で一番着ている服はといえば白衣だ。実験中はもちろん何故かバイト先でも着ている。だから下手すると一週間、毎日白衣に腕を通していたりする。これだけ着る白衣だが、2枚しか持っていない(バイト先の分は別として)。そして私の実験では土やら堆肥やらを使い、ショッキングピンクに染まる試薬を使ったりする・・・
もうおわかりですね。そう、白じゃないです私の白衣。漂白剤とかに漬けても白くならないでやんの。この前なんてカップ麺のソースが飛び散ってました。洗濯機に入れるときは白衣だけ別口にしてます。一度他のものと一緒に洗おうとしたら、もの凄い勢いで怒られました。嫌がられるとか、もうそういう可愛いレベルでは済まされないようです。お父さんのパンツより扱いが悪いです。
そんなのを着たりもするけれど、私は元気です。
一日女子大生
友人と一緒に、彼女の通う女子大へ行ってきた。彼女は図書館で調べ物をするという。私はその間、図書館で彼女にビデオを借りてもらい、観ていることにしたのだ。
大学の門前には守衛さんがいた。大学構内は部外者立ち入り禁止。「別に部外者だってわからないから大丈夫だよ」と友人に言われて、そこを素通りすることにした。
「こんにちは」とかなんとか声をかけてくる守衛さん。ちょっとドギマギしてしまう私。しかし、びくついては怪しまれてしまうに違いなく、
「こんにちは」と爽やかに挨拶を返す友人に合わせて、私も守衛さんに向かって微笑んでみた。何の問題も無く門を通過。世の中笑顔さえあればいけてしまうものだ、うん。
こうしてまんまと女子大生になった私は、その勢いで図書館も入場。こちらの受付は普通顔でパスできた。笑顔じゃなくてもいけるのだ。もう何も怖くないと悟った私は、堂々とビデオを鑑賞させてもらうことにした。どのくらい堂々としていたかというと、バッグからちびちびと「よっちゃんいか」を取り出して食べたくらいだ。選んだ映画は「ドライビング Miss デイジー 」。あまり時間が無いので上映時間が90分ほどの短いものにしたのだ。
が。
開始してから30分くらい経過したときだった。静かな館内にアナウンスが響き渡った。「あと40分で閉館いたします。貸し出し希望の方は受付まで・・・」
う、全部見切れない。ビデオを選ぶのに時間がかかり過ぎていたらしく、ビデオを観る時間が無くなっていた事に気づいていなかった。慌てた私は禁じ手のビデオ早送りをした。ただでさえも会話が多い映画なのに早送りをすると会話が途切れることが無く、内容を追うだけでせいいっぱいになった。20分くらい飛ばして、さあここからラストまではゆっくり観ようと思ったその時、後ろから肩を叩かれた。一緒に来た友人だった。
「あのさ、もう人がいないんだよ。」
確かに辺りを見渡すと人がいない。土曜の大学で、閉館間際に入る方が珍しいといえば珍しいだろう。友人は続けた。
「このビデオ、私が借りて返さなきゃいけないのに、あなたが観てると怪しまれるんじゃないかと思うんだ。」
ちょっと離れたところでは、図書館員が椅子を片付けて閉館の準備をしていた。
仕方が無い。私は泣く泣くビデオを観るのを中断した。いったい何のための早送りだったんだ。