肩をもまれて

同僚のNさん*1八重洲の地下街にあるマッサージ店へ行った。
別にどこかこっていた訳ではないが、お付き合いというやつだ。しかし入社当初はパソコン仕事で肩がこって、こって、どうかなるんじゃないかと思うほどで、マッサージされたいと散々ぼやいていたのは私だった。仕方が無い。
それに興味もあった。これまでにマッサージでお金を払ったのは、台湾の空港のマッサージ屋だけだ。あの時は痛かったが、言葉が通じないので黙ってオジサンに揉まれ叩かれるがままになるしかなかった。日本なら強さの調節も出来るだろう。会話とかもするのだろうか。



そんなこんなで、どきどきの入店。「いらっしゃいませ」と満面の笑みのお姉さんやお兄さんが、理髪店のようなイスに腰掛けた客の首を揉みながら出迎えてくれた。受付兼マッサージ師だ。客は目の前の小さなテレビ画面を見ている。なるほど、こうして暇つぶしの道具を与えておけば退屈しなくてもすむだろう。10分後の私の姿が重なる。
画面を見ると映し出されていたのはディズニーアニメのアラジンだった。ちなみに店内のBGMはジブリアニメ曲のオルゴール版のようだった。店長はアニメが好きなのかもしれない。
金曜のせいか20分待ちと言われた。八重洲の地下街にはこの店だけではなく他にも数点出店している。にも関わらずこの繁盛振りとは。台湾の空港ではガラガラだったのに。関係ないけどさ。



とにかく20分待って、20分揉んでもらった。家族に揉んでもらうと5分もすれば疲れて手が止まるのだが、プロは20分間丁寧に揉んでくれた。
そして「痛いです」が通じた。さらに、首を揉んでもらって「目が疲れていませんか」「はい」「ここらへんが凝ってますね。これは目からくるんですよ」「はあ。なんだか目がすっきりしてきたような気もします」と会話も交わした。
アラジンは見なかった。目の疲れを取ってもらうのにわざわざ目を使うことも無かろうと思ったからだ。あれはきっと足を揉んでもらう人用だ。



終わってみると気持ちよくて、また来てもいいかなという気になっていた。そして夜。なんだか肩が重いのだ。別に特別なことをしたわけではなく、たぶん私の身体がまた「肩凝り」を認識しだしたのだ。
そういうことか。一度行くと癖になると聞いていた。揉んでもらって一瞬気持ち良くなると、凝りが気になってしょうがなくなる。おそらくマッサージ時間もだんだん延長していくのだろう。うーん。

*1:年下の綺麗なOLさん

形の無い凶器

今日は研修があって、久しぶりに平日の午後の街を歩いていた。風は冷たいが日はぽかぽかと照り、暖かいとさえ感じた。道には土曜に降った雪がところどころ残っていた。うっすら残る雪の白さは陽の光を反射してまぶしく光っていた。たまには雪もいいなと目を細めながら眺めた。うららかな午後だった。その瞬間までは。

バキッザクッバリーン

けたたましい音が鳴り響いて、私は硬直してしまった。5mくらい先にあった家の地上3mくらいの雨どいから、大きな氷の塊(土曜は雪だったと思われる)が落下したのだ。効果音の説明をすると、「バキッ」が氷が本体から離れる音、「ザクッ」が地面に氷が刺さる音、「バリーン」が氷が落下した衝撃で破片となり飛び散る音といったところだ。直撃を食らったらひとたまりも無かったはずだ。命拾いをしたと思った。

研修帰りに同じところを通ると、氷が跡形も無くなくなっていた。たかが数時間で消えるわけが無い。音を聞きつけた人が片付けたのだろう。上を見上げると雨どいに残っていた氷も取り除かれていた。こんなことは雪国ではよくあることなのだろうか。ならば雪国の人は頭上にも注意を払うスリリングな生活しているのだろうか。雪は綺麗だな、となめたようなことを言ってばかりですみません。雪の怖さを体感できて有意義な一日だった。

お財布と私

 引き続きお金関係。

 仕事を変えたら帰りが早くなった。時間が出来たのでパソコンの家計簿つけを再開した。栃木にいる時に、一人暮らしはお金の管理をしないとある日突然生活費が無くなっているかも知れない、との恐怖からつけ始めたのだが、案外楽しくてはまった記憶がある。贅沢覚えて乗り物のグレードを上げてきたな、とか肉より魚が好きだったんだとか、自分のことなのに新たな発見が色々あった気がする。

 それと、実はもうひとつ理由がある。

 先日、妹が一人暮らしをしたいと言い出した。私はここぞとばかりに、一人暮らしの大変さを語った。朝5時前出勤だろうが、部屋で吐く息が白いほど寒かろうが、自らきちんと起き、ゴキブリと戦い、なけなしのお金を管理し・・・等々。そして自分の頑張りの集大成として、パソコンの家計簿を見せた。ところが。4月、5月の2ヶ月しかデータがなかったのだ。管理できていなかったのが明々白々となった瞬間だった。当然、妹はしらける。格好悪かった。また、栃木にいた11ヶ月間つけ続けたと思い込んでいただけに、驚きもした。
 
 データを改めて見た。2ヶ月の間に、実家に帰る乗り物は宇都宮線からスペーシアだの新幹線だのになり(冬の寒さに耐えられなくなった頃贅沢をするようになったと思っていたが違った)、肉よりあじの開きを購入し(最初の頃よくハンバーグを作っていたと思ったら違った)、ホウ酸団子だのゴキ包だの(夏に三回出たと思っていたら違った)を購入していた。確かに覚えはあったが、これらが全てたった2ヶ月の間に起きていたとは忘れていた。私の記憶なんて当てにならないものだ。

 そんなわけで、今年の目標は12ヶ月間の家計簿をつける、これでいこうと思う。

一攫千金

去年の暮れに会社の忘年会で宝くじをもらった。1枚。私は積極的に宝くじを買う人間ではない。慣れないものを手にしてそわそわしてしまった。

まずは当たったらどうしようかと友人と話し合った。で、何を買おうか…そこでいきなり行き詰った。特に買いたいものが思いつかなかったのだ。下手に家を買うと税金関係で大変そうだし、世界旅行をする暇はないのだ。となると服を買ってみたり、ちょっと高い物を食べてみたり、1日有給とって3泊の旅行にいく程度だろう。自分の夢の地味さ加減に気づいて愕然とした。宝くじ売り場に列をなしていた人達はどんな夢を描いて買うのだろうか。

年が明けて抽選結果を確認する方法を母に聞いた。何でも、宝くじ売り場に持っていけば番号をチェックしてくれるらしい。しかし1枚だけ持っていくのが忍びなくて、結局さっきネットで調べてみた。結果は落選。なあんだ、といったところだ。さっきまでのそわそわ感がすーっと引き、あまりにもあっさり無視されたことへの寂しさが残った。お年玉付き年賀はがきなら、と思い当たり調べたが、これまた全滅。外は雪だ。

今年もよろしくお願いします

去年は激動の一年だったので、今年は穏やかに笑って暮らしたい。

今年の出来事で興味があるのは、パンダ外交だ。台湾は受け取るのだろうか。欲しいだろうな、パンダ。核をつきつけて脅すより、ずっと平和的でずっと効果的だ。

世界も出来れば穏やかでありますように。

ここしばらくの私

昔のはてな日記を見ていると面白い。そういえばこんなことあったなあと懐かしくなる。別にネットで全世界に向けて(まあごく僅かな人しかたどり着かないが)日記なんて公開するもんでもないよな、と考えると書く気が失せるのだが、思い出したように書きたくなる。誰かがコメントをくれると嬉しい。そしてリンク元を見るのは楽しい、いや楽しすぎる。これがはてなで日記を書きたくなる一番の要因だと思う。

コーラ生姜について語った日記に「コーラ+生姜」で辿りついてきた人達をたくさん見た時は嬉しかった。友達に話しても「へえ」としか相手にしてもらえなかったが、この世にはコーラと生姜の組み合わせから何かを知りたい人がこんなにもいたのだ。胸が熱くなった。ひとりじゃないって素敵なことね。私の日記で誰かがコーラ生姜作りにはまったかもしれない、とまで想像して楽しんだ。しかし「エロ+小学生」で来てしまう恥ずかしい人や「V6」で紛れ込んできた人達には申し訳ないと思う。思いつつ、ちょっと楽しい。

近況を書こうと思ったら横道にずれてしまった。実は少し前までスペイン旅行をしていた、と書くつもりだったがもう眠いのでまた今度。そして実は今週から働き出した、という個人的一大事件はちょっと書いておく。だって1年近く職探ししていたんだもの。前職ではしがない技術屋で、その後半年は実家に寄生しつつ職探しの日々。ニート目前にしていたが、土壇場で就活当初は考えもしなかったオフィースで働く人になった。これは就活に疲れて「無職」とやけっぱちに検索してしまった人の励みになるかなあ。あの、人生どうなるかわからないもんですよ。

夏の終わり2

夏といえば後悔がある。「夏休み子ども科学電話相談*1」で先生の度肝を抜くような質問をしてみたかった。しかし「調べりゃわかるよ」レベルのつまらないことしか思いつかず、年を重ねてしまった。

そして今。この年になって、この番組には別の楽しみ方があることに気づいた。質問がどうのというより、先生達の反応が面白いのだ。

私のお気に入りは昆虫の先生だ。やたらと詳しい。そして本当に嬉しそうに解説する。アナウサーが「昆虫への愛情が伝わってきます」とコメントしていたが、その通りと深く頷かざるを得ない。時には愛が溢れすぎて、質問者へ怒りを表わすこともある。

小6 「昆虫の足はなぜ6本なんですか?*2
先生 「じゃあ、まず聞くけど、昆虫の足って体のどこについてるのかな?」
小6 「えっ。お腹・・・」
先生 「ん?」
小6 「(慌てて)あ、違った。えっとお尻」
先生 「ええ?」
小6 「(とても慌てて)いや、そうだ頭!あ、いやえーと(うろたえる)。」
先生 「君さー、6年生でしょ?!これ3年生で習うことだよ!」
小6 「・・・」
先生 「・・・まあ、いいや。胸ね。胸から3対の足が出てるんだよ。」


小学生とはいえ、不勉強では許されない。私は奇抜な質問を思いつかなくて良かったのかもしれない。

*1:電話で子どもが科学に関する質問をし、専門家が答えてくれるラジオ番組

*2:小学生らしい良い質問だ。単純だが調べにくそうだ。質問者もしてやったりと思ったに違いない。