夏の終わり
今年の甲子園はちょっとした波乱が起こっていた。優勝候補だった愛工大名電が済美が、2回戦にして姿を消した。
その2校を破ったのは、なんと甲子園初出場校!初回で愛工大名電、それに勝っても済美との対決というくじ運の悪さから、初回で消えると思いきや、勝ってしまった。それだけでも十二分に面白いが、この高校を調べるととんでもないドラマが明らかになった。私のつたない文章なぞより、以下の長崎新聞の記事を読んでいただきたい。
http://www.nagasaki-np.co.jp/sports/2005/yakyuu/zenkoku/kikaku1/01.html
そしてその後トップページへ戻って、企画「創部50年目の夢舞台」を第5回まで読まれることをお薦めする(リンクが外れたらご容赦)。
私の出身校はスポーツ学校で、当然色んなところから生徒を集めていた。県代表なんてのは嘘っぱちなのは誰もが知る現状だ。それがこの清峰高校は地元民を育て上げたというから面白い。しかも練習道具が揃わず木を切り倒して練習したとか(どっかのスポーツ紙web)。ロッキーとかベストキッド並だ。誰かこの学校でドラマ作ってくれ。
今日はまた優勝候補(どこまでもくじ運が悪い)の大阪桐蔭戦。残念ながら負けてしまったが、ラストは息詰まるエース対決だった。最後まで見せてくれた清峰高校ナインに拍手を送りたい。
彼女の優しさ
私の住む街は住宅街で、スーパーがチャリ15分圏内にひしめいている。西友だのイーオンだのヨーカドーだの何だのかんだの、その他にも商店街があったり。それでどこも混んでいるからよくわからない。
悲劇はイーオンで起きた。私が本を買いに行くといったら、本を買ってもポイントがつくから、と言われ母にポイントカードを持たされた。本屋でポイントがつくとは初耳だったが、素直な私はレジでポイントカードを出した。するとレジの女性が固まった。
「あ、あのこちらでは使えないと思うのですけれど。」
ああ、やっぱり本屋は駄目じゃないか。わかりました、といってカードを受け取った私が固まった。ヨーカドーと書いてある・・・。ここはイーオン、これはヨーカドーのカードです、とか正しいことを言わずに、やんわりはぐらかしてくれて有難う。おかげで大勢の前で恥かかずにすんだよ。人の優しさを感じた午後*1だった。
行間に想いを馳せて
図書館で井伏鱒二の全集を借りた。わ・・・なんだこれ。
○とか線引いてあるくらいならよくあるのだが、ここまでとは。文字通り「行間」に文字が色々と書き込まれている。漢字に振り仮名が振ってあるのは序の口、ご丁寧に句読点や接続詞をいれてくれたり、言葉の訂正までしてある。
世の中色んな人がいるものだ。母に話すと「それこそ図書館で借りた本の醍醐味よ」と言われた。なるほど。それこそ、とまでは思えないが確かに面白いものかもしれない。
話を読むより、書き込みの方が楽しく思えてきた。よく調べてみる。書き込みは本の始めから終わりまであるわけではない。山椒魚と屋根の上のサワンの2話だけが標的となっている。それもサワンの方がひどい目にあっている(写真参照)。井伏はよく改訂版を出していたらしいので、改定箇所を示したのだろうか。ならば書き込み犯は研究熱心な人ということだ。しかし趣味で訂正してみたのであれば、いったい何を思ってこんなことをしたのだろう。次にこの本を借りる人に、よりセンスある文を提供しようというのだろうか。井伏本人がやった記録にしても 門のところ出口 の訂正なんて、どうでもいいというか、むしろ必要ないと思うのだけれども。
どんな人が書き込んだのだろう。字は真面目で私より綺麗だ。購入日を見ると昭和39、12、1とあった。私が生まれる前に書き込まれたのか、つい最近なのかもわからない。私以外にもこの書き込みを見て驚いた人がいたかもしれない。これから見て驚く人がいるかもしれない。この本を手に取った人だけが味わえる驚き。時代を経てこっそりとわかちあえるのは素敵なことかもしれない。