形の無い凶器

今日は研修があって、久しぶりに平日の午後の街を歩いていた。風は冷たいが日はぽかぽかと照り、暖かいとさえ感じた。道には土曜に降った雪がところどころ残っていた。うっすら残る雪の白さは陽の光を反射してまぶしく光っていた。たまには雪もいいなと目を細めながら眺めた。うららかな午後だった。その瞬間までは。

バキッザクッバリーン

けたたましい音が鳴り響いて、私は硬直してしまった。5mくらい先にあった家の地上3mくらいの雨どいから、大きな氷の塊(土曜は雪だったと思われる)が落下したのだ。効果音の説明をすると、「バキッ」が氷が本体から離れる音、「ザクッ」が地面に氷が刺さる音、「バリーン」が氷が落下した衝撃で破片となり飛び散る音といったところだ。直撃を食らったらひとたまりも無かったはずだ。命拾いをしたと思った。

研修帰りに同じところを通ると、氷が跡形も無くなくなっていた。たかが数時間で消えるわけが無い。音を聞きつけた人が片付けたのだろう。上を見上げると雨どいに残っていた氷も取り除かれていた。こんなことは雪国ではよくあることなのだろうか。ならば雪国の人は頭上にも注意を払うスリリングな生活しているのだろうか。雪は綺麗だな、となめたようなことを言ってばかりですみません。雪の怖さを体感できて有意義な一日だった。