5割引きの愛、その後

お久しぶりです。久しぶりに自分の日記のリンク元を見たら「コーラ 生姜」で20件くらい来ていた。コーラ生姜ってば人気あるじゃん。

ところで、馬鹿みたいに忙しかった日々も落ち着いた。と思ったのもつかの間、結局3月のぎりぎりまで学校に通わなくてはならなくなった。まあ、いいかこれで最後だし。


3週間くらい前、個別指導塾で教えている生徒に「おれ14日空いてるから振り替え授業やって」と頼まれた。その時の私は修士論文でてんてこ舞いだった。「ああいいよ」とよく考えずに承諾してみたものの、よく考えたらバレンタインデーじゃないか。生徒に「こいつも暇に違いない」と舐められたあたりが腹立たしい。友達にそう言ったら、そんなこと考えていないと思うよと慰められた。

しかし人に贈り物をするのは(割と)好きだ。だから14日にはチョコを持って行くことにした。とはいっても、そんなに気合を入れていたわけではない。授業の始まる30分くらい前に近所のスーパーへ買いだしに行った。もう14日も夕方とあって、チョコ売り場の人はまばらだった。おまけに品数が少なくなっていた。さらには5割引シールを貼られたものまで出没していた。そんな中で私の選んだのは・・・5割引き。嘘っぽーいパディントン(クマのキャラクター)の絵が描かれたチャックつきのアルミ缶の中に申し訳程度にチョコが入っているという代物だった。それほど可愛らしいといえるものでもなかったが、値段が大変好みだった。缶ジュース1本くらいのお値段だ。こんなもん、中身云々よりあげるという行為に意味があるだろう。振り替え授業の生徒以外にも他の生徒を担当する可能性があるので、もう1つ余計に買っていった(もちろん5割引シールは剥がしてもらって)。

塾へ行くと、担当は振り替えの生徒だけだった。帰り際に彼に例のチョコをあげた。すると意外にも顔を輝かせて喜んだ。突然饒舌になり「昨日学校でもクマのチョコくれた女子がいてさー、クマ流行ってるのかなあ」とかなんとか。まさか5割引だから買いましたとも言えず「そうだねえ、クマ商品いっぱいあったねえ」とか適当なことを言っておいた。少々胸が痛かった。

もう1個余ったチョコは自分で食べるのもなんだしと思い、家にいた母にあげた。いつも有難うチョコということで。ところがこれも意外な反応が返ってきた。目を潤ませんばかりにして「きゃあ、嬉しいわ」。おまけに、後で妹とこんな会話までしたらしい。

  母「お姉さん(私)にチョコもらっちゃったの。」
  妹「お返しが欲しかったんじゃない?」
  母「違うわよ!そんなこと考えているわけないじゃない !本当にいつものお礼だって言ってくれたのよ!」

妹の発言もどうかと思ったが、それ以上に母の応えに驚いた。余ったからあげましたとは口が裂けても言えますまい。

塾の生徒はその次の授業のとき、例のものを小銭入れに使っているといって見せてくれた。うーん、こんな簡単なことで人を喜ばせることが出来るものだったのか。すごいぞ、バレンタインデー。来年はもうちょっと心を込めてチョコ選びます。(このページが母と生徒の目に触れないことを祈りながら)

〜補足〜
男心を弄んだと非難されたので、いいわけを兼ねて私のバレンタイン観を。

私は女だが、同性からバレンタインにチョコをもらうことが結構ある。それは何も同性愛的な深い意味ではなくて。作ったチョコを男女別なく友人に配っていて、私にもくれたという類のものだ。私以外にもそういう事例をよく見聞きする。バレンタインがクリスマスみたいに恋愛感情のある無しに関わらず、プレゼントを送る日に近づいてきているのではないだろうか。というわけで、半ば義務的に「バレンタインには生徒(男女別なく)にチョコをあげなくちゃ」と思ったのだ。

・・・だからね、決して生徒を弄ぶ気なんてないんですよ。でも今回の生徒は恋愛感情があるわけではないと理解しているだろうけど(そんなんだったら生徒が嫌がる)、愛の告白みたいに捉えて喜ぶ人が(仮に)いたら、結果として弄んだことになっちゃうのかな。チョコをあげる側も結構悩む日なのです。